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ノートに何度も消したり書いたりしながらも、正解に行き着いたようだ。西門はパンと両手を叩いた。目がキラッキラして見えた。
「おお! やった! できたで。気持ちええな! こんなん、久しぶりや~」
その声に我慢しきれなくなったように、周りの生徒たちがわらわらと集まって来た。
「おはよ! 西門、東雲。なんしてんねん?」
「数学か? 珍らしな~。西門が勉強してんの」
「東雲のノート、キレイなあ」
何人もの頭が東雲の手元のノートを覗き込む。
「もう、君、声が大きすぎだよ。あ、おはよう」
小声で西門をなじって、東雲は周りのクラスメートたちの朝の挨拶に、律義に返事を繰り返した。
ここって結構な進学校のはずだよな…。俺みたいのが転校してくるのって、あんまり歓迎されないよな…。ライバル増えちゃうし…。
東雲はそんなことを考えて、ちょっと身構えた。
「俺にも教えて~や、東雲」
ところが、我も我もと何人もが二人の席に集まって来た。
「待ってぇや。みんな、順番やで~」
すかさず立ち上がった西門が、なぜか笑顔で仕切り始める。
「ちょ、ちょっと!」
東雲が慌てたところで予鈴が鳴った。
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