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好きなものを公言して隠さない仙頭の態度は却って東雲には清々しかった。岡本はこの子いいよな、と扇子の女の子を指さして笑いながら後を引き継いだ。
「俺はアニメとかスポーツとか映画はイケんで」
ええっ! すごい。岡本ってアニメおたくなのか?! 俺なんか、○んぱんマンを卒業した年長の頃からまともにアニメ見たことないよ。そういえば…。
東雲は部室の周りを見回した。壁にクイズ番組の宣伝ポスターに混ざって、派手な服装の女の子や有名なアニメ映画のポスターも貼られている。
なんか…好きなコトに真っすぐっていいな…。
「東雲は?」
そう問われて彼は口ごもった。二人のように胸を張って披露できるものがなかったのだ。
「えーっと。歴史とか地理とか…好きだけど。生物、化学とかも…」
ちょっと居心地悪そうに身を小さくする。
「ごめん、後は普通かな…」
けれど岡本は大きく頷いた。
「東雲は教科書や参考書に強かったらええよ。あんまりマニアックなクイズは出んから。…大事な役があるしな…。まあ、広く浅くお互いにカバーしていこうや」
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