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ん? 大事な役って? でも、岡本っていい奴だな。
司令塔を得たおかげで出場までのルートが見えたような気がした。
ラッキー! ついてるぞ。これならそこそこいいとこ行くかも。こういうの、イケるかもって言うんだろうな。知らんけど、も付けとこう。
「そろそろ、行こか」
壁の白い時計を見上げて仙頭が椅子をガタガタさせて立ち上がる。
「ほな、放課後、体操服で集合な」
…体操服…。やっぱり走るのか…。テンション下がるな~。あ、そうだ。このことは内緒にしておかないと…。
大事なことを思い出して東雲はドアに向かう二人を呼び止めた。
「あ、あのさ…。このことは皆には内緒にしておこうよ」
「なんで?」
と、仙頭。細めの眉が寄っているが前髪の向こうに見えた。
「だって…予選で負けたりしたらカッコ悪いし…冷やかされるのもヤだし」
岡本はちょっと首を傾げたが、人差し指で前髪をくるくると巻いた。
「そやな、その方が集中できるかもな。それにいきなりテレビ出演!ってカッコええしな」
「おう、ええな、それ」
東雲はほっと胸を撫で下ろした。
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