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三人でした約束。感づかれないように点を集めること。西門のためだと知られないように。
岡本が部室に鍵を掛けるのを待って彼らは教室へ向かった。
「東雲はちょっと変わってるよな」
渡り廊下を歩きながら岡本が呟いた。
「え?」
思いがけない言葉に東雲は聞き返した。
「何が?」
「うちのクラスに限らんけど…。スポ推の連中って仲エエやろ?」
「まあ、確かに」
いつもわいわいがやがやと固まって盛り上がっているのは身体の大きな連中だ。西門はその筆頭と言える。
朝陽が斜めに入って眩しい。急ぐ彼らの影を長く廊下に映す。ざわざわと登校してきた生徒達の姿が見える。
「普通に受験した俺らとはちょっと距離があるねんな…」
「ああ…そうなんだ」
ふと、東雲はいつかの井藤のセリフを思い出していた。
クラスやって、賢コ組の奴らは付き合い悪いし…。
お互いにそう思ってるんだ…。俺から見たら全然…。以前のガッコに比べたら…。
ライバル心と敵意を隠さなかったクラスメートを思い出して東雲の目がかすかに歪んだ。
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