第14話 運動オンチ's転校生inスポ根グラウンド

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 それぞれの部の練習を邪魔しないように、3人は塀に沿って校庭の隅を走り始めた。一段高くなった花壇に植えられた、今どき珍しい樹木の塀だ。東雲の背よりかなり高い。この塀のせいもあって、この高校は緑が多い。  仙頭と岡本は話をしながら結構スムーズに走っている。  やば…。2人のペースについていけないかも…。全然早くないのに。  1キロも走らないうちに、東雲は早々に遅れ始めた。  暑…。足が辛い。でも、それより息が…。汗が気持ち悪い。あー日陰。風が涼しいな…。それにしてもいい天気。焼けそ。眼鏡が曇る…。日焼け止めがいるかなあ…よく母さんがうるさく言ってたっけ。  東雲はいろんなことに気を紛らわせつつ、何とか2人の後を走って行った。  体育館の角を曲がったところで、前の水道のあたりにワラワラと生徒たちが出入りしているのが目に入った。  まずい! バスケ部の連中だ!   東雲は小さくなって校庭の隅の隅の方へ向かった。走りながら、彼は多数の視線を痛いほど感じていた。  まずいも何も、見慣れない奴が校庭走ってたら見るよな、普通。 「おお~い!」  うわ! やっぱり! 西門だ。
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