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2人にはクイズ番組に出ること、一応、知らせておいてよかった…。でないと、何をやっているのかしつこく聞かれただろうな…。
「東雲! 大丈夫か」
グラウンドの隅の芝の生えた辺りまで井藤が追っかけてきた。
「ごめんな、さっきのボール、俺が蹴ってん。失敗して」
拾ったボールを抱えて、ピョコっと頭を下げる。
「あ、そうなんだ…。大丈夫だよ。…ちょっと休むから。心配いらないよ」
「うん、そうし〜な」
井藤は表情を緩ませると、サッカーゴールの方へ向かって走って行った。
東雲は校舎に繋がる花壇までくると、そこへ腰を掛けた。はーっと大きな息をひとつ吐く。野球部もサッカー部も、他の部も皆、大きな声を出してそれぞれの練習に余念がない。それをながめながら、東雲は考えた。
体力つけるのって…大変なんだな…。でも、助かった。あいつらがグラウンドに居てくれて…。
ボールを追って走る井藤や、大声を上げて白球を投げる阿部の姿が遠くに見える。二人とも素早く力強い動きで周りを引っ張っている。
西門ほどじゃないけど…あいつらも結構、やるなあ…。
「君、大丈夫かい?」
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