第14話 運動オンチ's転校生inスポ根グラウンド

6/20
前へ
/291ページ
次へ
 2人にはクイズ番組に出ること、一応、知らせておいてよかった…。でないと、何をやっているのかしつこく聞かれただろうな…。 「東雲! 大丈夫か」  グラウンドの隅の芝の生えた辺りまで井藤が追っかけてきた。 「ごめんな、さっきのボール、俺が蹴ってん。失敗して」  拾ったボールを抱えて、ピョコっと頭を下げる。 「あ、そうなんだ…。大丈夫だよ。…ちょっと休むから。心配いらないよ」 「うん、そうし〜な」  井藤は表情を緩ませると、サッカーゴールの方へ向かって走って行った。  東雲は校舎に繋がる花壇までくると、そこへ腰を掛けた。はーっと大きな息をひとつ吐く。野球部もサッカー部も、他の部も皆、大きな声を出してそれぞれの練習に余念がない。それをながめながら、東雲は考えた。  体力つけるのって…大変なんだな…。でも、助かった。あいつらがグラウンドに居てくれて…。  ボールを追って走る井藤や、大声を上げて白球を投げる阿部の姿が遠くに見える。二人とも素早く力強い動きで周りを引っ張っている。  西門ほどじゃないけど…あいつらも結構、やるなあ…。 「君、大丈夫かい?」
/291ページ

最初のコメントを投稿しよう!

32人が本棚に入れています
本棚に追加