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「あ、真鍋っち、来たで」
「起~~立!」
しばらくざわついていると担任がやってきて、朝のホームルームが始まる。東雲は小声で西門の背に文句を呟いた。
「あのねぇ、俺は、お礼に君に教えたんだよ? 何で他の人に…」
「出来るヤツが出来へんヤツに教えんのんの、何が悪いん? 別に競争やないねんから」
不思議そうな横顔。言葉に淀みはない。西門はフィと前を向いた。
「…そりゃ君には競争じゃないだろうけど」
悔しそうに口走ってから、東雲はハッとして俯いた。
…いや、君が相手にならないとかじゃなくて…。
『勉強の仕方? 教えるはずないじゃん! 順位が落ちたらどうしてくれるんだよ』
『風邪でもひいて、試験休んだらいいのに。そうしたらライバルが一人でも減るもんな』
うわ…。嫌なコト、思い出した…。超進学高のクラスメートだった連中の声が、ふと頭を掠った。
模試の前、みんなピリピリしてたっけ…。声もトゲトゲしくてさ。何か、表情も教室も、暗かったな…。
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