第14話 運動オンチ's転校生inスポ根グラウンド

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 斜め後ろの佐々木が、東雲を呼び止めた。午前中、居眠りをしていたのか眠たそうな顔だ。あくびをしながら、佐々木は足元からゴソゴソと何かを取り出した。机の下には何故か小さな青いクーラーボックスが置いてあった。 「これ、もっていけや」  白いパックを差し出しされて、東雲は目を瞬いた。  え? 何? これ…刺身?  キレイに並んだ、10切れはあるマグロの刺身だ。 「な、何で?」  面食らった東雲に、佐々木は目を糸にして笑った。 「こないだ、数学の答え教えてくれたお礼や」  いや、なんでマグロの刺身が弁当なんだ!  代わりに西門がひょいと受け取って、ありがと~と歩き始めた。 「あのさ…。刺身がお弁当ってアリなのか?」  東雲が問うと、西門はもちろんや、と頷いた。 「アイツ、よう持って来てるで。家が魚屋なんかもな~」  ああ、そういうことなら分からないでもないか…。けど…夏だし…。  廊下を連れ立って歩いて学食に向かう。 「お母さんの調子どう?」 「元気やで。けど、右手がなかなか上手いコト使われへんみたいや。アタシの華麗なハサミさばきが~!ってやかましいわ」
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