第14話 運動オンチ's転校生inスポ根グラウンド

17/20
前へ
/323ページ
次へ
「マグロ、もうてええ?」 「あ、もちろんだよ。こんなに食べられないし…」  確かに東雲のスプーンはあまり動かない。ホクホクとトレイのパックを剥ぎ、美味しそうにマグロの刺身を頬張る西門とは対照的だ。 「食えへんの?」 「え? いや…」 「カレーはぬくぬくのうちがうまいんやで」  ぬくぬく…? 暖かいってことかな。じゃあ、冷たいのは冷え冷え? ぬるいのは…ぬるぬる? 石鹸かジェルみたいだけど…。  ここのところ、クイズにどっぷりはまっている東雲は一瞬でそんなことを考えた。 「あ、うん。なんか、食欲無くて」  それは本当だ。いろいろ忙しいことが一因でもある。 「そらあかんやん! うちにたこ焼き食いに来るか? オカンも家おったら暇なんか、うるそーてかなわんわ。東雲来てくれたら絶対喜ぶで~」  米粒を飛ばしながら口走った西門の声を、東雲はやんわりとさえぎった。  ありがたいけど、今はクイバトに集中しないと。これも君のためだ。わかってくれよな、西門。
/323ページ

最初のコメントを投稿しよう!

32人が本棚に入れています
本棚に追加