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「いや、ありがとう。でも、西門だってインターハイに向けての練習が大変だろ? この間の県予選はすごくカッコよかったよ。バンバン相手の選手を抜いていってさ」
東雲は宙ですいすいと手を泳がして見せた。先週行われた県予選の試合を見に行ったのだ。他の部の連中も試合が重なっていたが、バスケ人気は高いらしくギャラリーは一杯だった。とたん、西門の目じりが下がった。
「そっか~? ありがとうな。もっと言~て」
「あはは、いつもどおりのすごい活躍ぶりだったよ」
バスケの話を始めると西門はいつも機嫌がいい。
ホントにバスケが好きなんだな~。
その思いは少々東雲を切なくさせた。気を取り直して、佐々木からもらったマグロをありがたく食べてみる。
あ、美味しい…。冷たくてほのかに甘くてさっぱりして…。きっと新鮮なんだな。
ふと、思いついて、チャーハンの皿を天井に向けて残りを掻き込んでいる西門に問うた。
「なあ、西門。…運をよくするのって、どうしたらいいんだろうね」
西門ならどう答えるんだろう。
それが知りたい気がした。
「運?」
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