第14話 運動オンチ's転校生inスポ根グラウンド

19/20
前へ
/323ページ
次へ
 もぐもぐと頬を一杯に膨らせたリスのような顔つきのまま、西門はニヤっと笑った。 「そんなん、簡単や」  ごくん、と飲み込んで西門。 「え?」 「まずはちゃんと食うて、よ~寝るこっちゃ」 「……」 「ほんで、くよくよせーへん」 「……」 「そんで、決めるこっちゃ。わいみたいにな、NBA行くん、決めてるから」 「……」 「そしたら、チャンスを逃せへん! せやろ?」  東雲は呆けたように西門の顔に見入っていた。全身に鳥肌が立ったような気がした。  すごい…。すごいよ! 西門。なんかゾワゾワする!  見る間に東雲の頬が紅潮する。  なるほど…。まずは体調管理、いつもポジティブ思考、そして明確な目標設定。この三つをキチンとこなして実行すれば、確かにチャンスを活かせそうだ。  だからきっと…。西門は運を引き寄せただろうし、今回のことでもメゲないんだ!  「さすがだ! 西門。君って、ホントにすごいね!」  いきなり立ち上がった東雲の明るい表情と叫び声。西門は少々驚いたものの、頭を掻いて照れ笑いを浮かべた。
/323ページ

最初のコメントを投稿しよう!

32人が本棚に入れています
本棚に追加