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「眠れたさ、決まってんじゃん」
西門にも、よ~寝るこっちゃって言われたもんな。
そう返答すると仙頭は首を左右に振りながら愚痴った。
「俺、ちょっと緊張したんか、あんまり」
「案外、気が小さいな」
岡本が軽く肘でつつくと仙頭は口を尖らせた。
「繊細、言えや~」
も~、朝から大小で喧嘩するなよ。
身長差15センチぐらいの2人の言い合いを無視して東雲は周りを見回した。
「なんか、多くないか? 制服の高校生…」
大きなシャッターの閉まった入口近くや太い柱の陰に同じように人待ち顔の高校生多数。
「見てみい、結構おるやろゲン担ぎ組」
仙頭が得意げに指先で鼻の頭を擦った。会場は地下鉄で30分程離れた駅だ。電車に乗り込むとどんどんと制服姿が多くなってくる。やがて車両は高校生で一杯になった。
「すごい人数。…一体、何人ぐらいがエントリーしてんの?」
吊革に掴まったまま東雲は岡本を見下ろした。
「去年は関西地区予選で300組くらいやったと思うわ」
じゃあ、ざっと数えて千人か…。うわあ、狭き門だな、これ。
「数にビビってたら蜂の巣退治は出来へんで」
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