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「そうや、モブはしょせんモブやで。漫画で描いたら波線で頭だけや」
岡本が指先で波線を描いた。
面白いコト言うなあ、2人とも。
両傍からひそひそと話しかけてきて東雲を笑わせる。
目当ての駅に着くころには電車は満員だ。ホームに出ると皆ほっとしたようにぞろぞろと改札に向かって歩き出す。夏服の高校生ばかりだ。
緊張するな~。今からかいな。今年の難しいん? 去年が厳しかったからどうやろ。水、買ってこ。駅のトイレ行っとく?
紺や黒や灰色に白。どこか地味な集団だがワイワイと口々にやかましい。
「会場どこだっけ?」
「今回は中学校みたいやな」
「ほな校庭ちゃうか?暑いで~」
「勝ち進んだら体育館とちゃうかな? 熱中症、怖いやんな」
適当なことを言いながら門を越える。規模の大きな学校らしく校庭は広い。塀に沿って立った木の陰に随分と人が集まっている。3階建ての校舎にそって受付が作られていた。
「入場のハンコをもらってください~! アプリをインストールしてない人は、参加できません~!」
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