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ぽっちゃりって…、岡本も言うなあ。反論はしないけどさ。相撲部か何かの選手だったっけ。
3人の視線に気が付いたのか、その男がのしのしとこちらに向かってきて東雲を驚かせた。
「お~、岡本~。懲りずに今年も出るんか。去年は早々に負けたくせに」
低い掠れ声が聞こえた。
え? 何? 岡本、知り合いか? うわ、何かニヤニヤしてヤな感じだな、コイツ。嫌味っぽい笑い方。
「今年の俺らは去年とちゃうで」
お、岡本、言いきったな。やるじゃん。
東雲と仙頭を背にして立った岡本は腕組みをしたまま相手のおにぎり型の顔を見上げた。
「特に、この東雲が俺らの秘密兵器や。負けへんで~」
え? ええ! 俺? 俺が秘密兵器ってなんだよ。こんな時、どんな顔してたらいいんだ? えっと…とりあえず、笑っとくか。あ、顔引きつったかも…。
「はあ? 何やて? まあええわ。楽しみにしといたるわ。去年の二の舞にならんとええけどな〜」
ぽっちゃり男は東雲をジロジロ見たものの、さっさと木陰に帰っていった。暑かったに違いない。
「東雲、その不敵な笑い、やるやんか」
は? 誰が? 右半分、変な感じになっただけだよ。
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