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東雲が周りを見回すと大きなレンズがすぐ側で彼を覗いているのに気が付いた。
「うわ!」
何だ何だ?! テレビカメラ?
クイバトのTシャツを着た男が肩にカメラを背負って中腰で彼らに迫っている。東雲は思わず数歩下がってしまった。
「東雲。ネクタイちゃんと締めてるか? さっきのも、きっと撮られてるで
」
岡本の平然とした声。
え? さっきのって…。あのぽっちゃりとのやり取りか?
東雲は咄嗟に首元を確かめついでに細い銀縁の眼鏡も上げた。
仙頭、君までそんなに締めなくても…。
慌ててネクタイに手をやった仙頭の姿に力が抜ける。そんな3人の様子をずっとカメラを抱えた若い男が追ってくる。仙頭は興味津々で反対にカメラの動きを追ったり前を塞いだり。
「誰が勝ち残るか分からないもんな。とりあえず、皆撮っとくのかな」
「さあ、どうやろな」
岡本はぐるりと周りを見回して何台ものカメラが動いているのを確認した。仙頭も頷いた。
「あ、あのぽっちゃりにもおるわ」
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