第15話 お江戸's転校生inクイバト関西予選 その①

9/23
前へ
/326ページ
次へ
 え~!という声と共に、約千人が一斉に振り返る。そこには①と掲げられた旗と台があって何かが置かれている。 「お、東雲、がんばりや」 「うん、よくわからないけど行ってくる」  なんか、案外地味に始まったな、予選。とにかくやるしかない。  東雲は人混みに流されるように走り出した。頭上で、②の奴はあっち、③の奴はあっちとアナウンスが流れていく。振り返るとふたつの生徒の集団が校庭の隅に向かって流れていく。校庭の乾いた土が踏まれ砂埃がもうもうと上がる。そこへ朝の光が降り注いでいた。  問題が別々なんだな。ということは…。  辿りついた場所は人の頭で見えにくかった。 「何? あれ」 「かぼちゃとちゃうか?」 「かぼちゃ?! でっか~!!」 「アプリ見ろやて!」  色んな声が飛び交う。  かぼちゃ…? 何だあれ…。良く見えないぞ。  背伸びをしてみると、確かに大きなオレンジ色のかぼちゃがひとつ高い台の上にデーンと置かれている。  でっか! 俺の両腕でも抱えられないぞ、あれ。
/326ページ

最初のコメントを投稿しよう!

32人が本棚に入れています
本棚に追加