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え~!という声と共に、約千人が一斉に振り返る。そこには①と掲げられた旗と台があって何かが置かれている。
「お、東雲、がんばりや」
「うん、よくわからないけど行ってくる」
なんか、案外地味に始まったな、予選。とにかくやるしかない。
東雲は人混みに流されるように走り出した。頭上で、②の奴はあっち、③の奴はあっちとアナウンスが流れていく。振り返るとふたつの生徒の集団が校庭の隅に向かって流れていく。校庭の乾いた土が踏まれ砂埃がもうもうと上がる。そこへ朝の光が降り注いでいた。
問題が別々なんだな。ということは…。
辿りついた場所は人の頭で見えにくかった。
「何? あれ」
「かぼちゃとちゃうか?」
「かぼちゃ?! でっか~!!」
「アプリ見ろやて!」
色んな声が飛び交う。
かぼちゃ…? 何だあれ…。良く見えないぞ。
背伸びをしてみると、確かに大きなオレンジ色のかぼちゃがひとつ高い台の上にデーンと置かれている。
でっか! 俺の両腕でも抱えられないぞ、あれ。
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