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青い地にサメがいっぱい泳いでいる柄と、茶色の串カツが横一列に並んでいる柄を見せあっている生徒二人。おお~っと響く笑い声と、食いモンはどうなんや~! と突っ込みがあちこちから飛んでくる。
パンツ、自慢しあうって…。め、めまいが…。
「おもろいやん、それ。なんぼしたん? 阿部」
西門がちょっと屈んで串カツを指さした。坊主頭のニキビの多い陽に焼けた生徒だ。
うわ、やっぱり聞くんだ値段。失礼じゃないのか? あ、でも、おもろいは褒め言葉だったっけ。
足を踏ん張った東雲の目が丸くなった。
ところが、問われた生徒はますます胸を張ると太い眉を上げてふふんと笑った。
「なんぼやと思う?」
1000円、800円、750円…と、いろんな声が飛び交った。串カツ男子は胸を張ってパン、と腹を叩いた。そして、鼻を膨らませた赤い顔で叫ぶ。
「ククク…。実は3枚千円や! たこ焼き柄とお好み焼き柄とセットやで!」
おおーー!
「それ、安いな!」
「めっちゃすごい! どこで買うたん?」
「観光客用ちゃうか?」
どよどよっと教室がざわめいた。
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