第2話 美形's転校生in関西's男子校

15/15

17人が本棚に入れています
本棚に追加
/220ページ
 不思議な節の付いた数え方だ。しいて言えば英語のABCの歌みたいに。  東雲がそんなことを考えている間に。西門の声はどんどん進んでいる。しかも、周りのみんなが西門の声に合わせて、着替えながら同じように数え始めた。 「しーち↓ はーち↓」 「数えるの早すぎ!」  焦らせるなっ! こっち見るなって! 東雲の苦情などどこ吹く風だ。 「きゅうう↑↑ じゅゅゅーーう↓」  西門が数え終わる。 「鞄、ロッカーに入れるねん!」  教室にはもう誰もいない。東雲が鞄を投げ込んだロッカーの鍵を掛けると、チャイムが鳴った。廊下へと走り出る。西門はとっさに東雲の左手を握り、また走り出した。 「あ~もう!」  早い! 早いって…!! 離せ~~~! 何でそんな力で握るんだよ~。  振り払おうにも西門の力は強い。走るスピードも落ちない。体育館の入り口まで西門は手を離さなかった。  体育館では、体育教諭の太田が仁王立ちして彼らを待っていた。 「太田センセ~! 転校生、連れて来ました~!」  西門は東雲を半ば引きずらんばかりに引っ張りながら、右手を大きく振った。  なんや、二人、漫才みたいやな。誰かがそんな事を呟いて、遠くで爆笑が上がっていた。  今日の教訓②  関西人、安く買えたら自慢ネタ?
/220ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加