第3話 文科系's転校生in運動系's体育館

1/14

17人が本棚に入れています
本棚に追加
/220ページ

第3話 文科系's転校生in運動系's体育館

 体育館の大きな扉の前。貫禄ある体格の無精髭の教師が二人を睨んだ。5分刈りのいかつい顔。繋がったみたいな太い眉だ。 「西門、そんな大声出さんでも見えてるわ」  まだ寒いのにTシャツ一枚って…。何か、熱血体育教師って感じ…。うわ、苦手なタイプかも…。 「ぜ~ぜ~。すい…ませ…ん。…場所、迷って…」  く、苦しい…。手、放せって…。  屈みこんで息も絶え絶えで呟く東雲。座り込まんばかりだ。隣にはケロッとして立つ大木みたいな奴。  何で…こいつ…、こんなに全力疾走して平気なんだ~! くそ~っ! 「大丈夫かいな。体力ないな~、自分」  呆れたような西門の声が降ってくる。  ほっとけ! スポーツ推薦と一緒にすんな!  もちろん、言い返す気力はない。ようやく大きな手が東雲を離した。  整列!の号令と共に二組合同の八十人ほどの男子が並ぶ。東雲はとうとう入り口付近で座り込んでしまった。  太田が東雲を覗き込んで軽く首を振った。 「しゃ~ない。初日やから大目に見たるわ。そこで休んどり。西門、そいつはお前のチームな。休んどる間、二人分動けや」 「ハイッ」  威勢のいい返事と共に、西門は東雲に青いタオルを放って笑った。 「持っといてや~」
/220ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加