31人が本棚に入れています
本棚に追加
中国・四国・九州沖縄と進んで行く。この問題難しい、簡単、方言おもろい、などワイワイ言っているうちにどんどん番組は進む。どこの地域も激戦の様子が伝わってどんどんチームが絞られていく。
「ゆで卵の時や!」
仙頭が叫んだ。焦って卵を割ったらグダグダに崩れたチーム、剥いている時に落としてしまうチーム、なかなか火から降ろす決断ができないチーム、いろいろだ。
『ゆで時間に苦戦しているチームが多い! あ~! 崩れた! 体育館に走って行く時の衝撃で卵が崩れた~! このチームは水を張ったボールにそっと沈めて運んだのが良かった!』
映像を見ながら臨場感たっぷりに担当アナウンサーが解説する。
知らなかったけど…。いろんなチームが居たんだ。どこも頑張っているな。真剣な顔つきで卵を剥く生徒たちに思わず手に汗握る。
『ここでちょっとしたドラマもありました』
「ドラマ? なんやそれ」
「あったっけ?」
首を傾げた彼らの前の画面で、アナウンサーが勿体つけて後ろの大きなモニターを振り返る。仙頭が指さした。
「あ! 東雲! あの子や!」
「!」
東雲は傾けていた紙コップのコーラを噴き出しそうになってしまった。
最初のコメントを投稿しよう!