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西門が東雲の柔軟体操に付き合って、次の試合が始まる。東雲が入りチームは5人になった。
俺、要るかなあ…? 足を引っ張る役回りは嫌だなあ…。
「…はっきり言って運動は苦手なんだけど…」
そう正直に西門の背に言ってみる。
「ほうか~」
のんびりと返答した西門。気にする様子もない。けれど、ホイッスルが鳴ると西門の表情が一変した。
「東雲、ここにおれよ」
大きな体がスイッと動いた拍子に、風が起こった。勢いよく走り出していく西門。追っていく足音。
すごい速さ…。動きもすごいや。
東雲はあっけにとられて目で追うばかりだ。
「いくで!」
後ろにも目があるのか! ボールが手に吸い付いてる?
すいすい間をすり抜ける。足を軸にクルクル回る。ボールが西門の周りを跳ねる。チームの誰よりも動きながら、他の4人全員にもパスを回す。
「後ろや! カットすんで!」
的確な指示。何処にいても、西門はパスを受け取る場所に駆けつけた。
「うわっ! やられた!」
東雲は相手方に邪魔されて何度も前につんのめった。
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