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3人で顔を見合わせて頷く彼らの表情は、力に満ちていて生き生きしている。
西門がいきなり立ち上がって叫んだ。
「ホンマや! 東雲! カッコええで~! がんばれ~!」
「ん?」
誰かに呼ばれたような気がして、東雲は横の窓を振り返った。特に何もない。厚手の茶の基調のカーテンがひかれているだけだ。
『関西波花、快進撃や! 9ポイント先取! とうとう後、ひとつだ~~!』
アナウンサーの絶叫に慌てて画面に向き直る。自分たちのことなのに今でも手に汗握る。3人は無言で最後のシーンに見入っていた。
『この問題が最後となるかどうか。ポイントは8.7.9と並んどるで。まだまだ! 第25問!』
シンと辺りが静まり返る。
『天文学的現象を説明するために考えだされた“質量は持つが、光学的に直接観測できない”とされる、仮説上の物質とは?』
画面が3つに割れ、それぞれのチームを映し出す。東雲はその時の緊張感を思い出していた。
『一斉に押した~! ランプが点いたのは~! 関西波花~~!!』
ウワーッ!! 大声援が体育館の空に響いた。目の前のランプが赤い光を放って回り始める。
「…ダーク・マター!」
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