第3話 文科系's転校生in運動系's体育館

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 他のメンバーも何度もボールを相手方に取られた。 「ドンマイや!」  そのたびに西門の明るい声が飛ぶ。  えッえッ…? うわ、ボールが!  西門の手にあったボールが床をバウンドし、東雲の胸に飛び込んだ。ちょうどゴール下。東雲、ゴール!と叫ぶ声が聞こえた。  ええッ!? ゴールって…。上! 上だよな!  東雲はボールを構えてゴールを見上げた。そして、固まった。  ひええ~! 高い!! 遥かかなたじゃん! まるで断崖絶壁みたいな…あんなの届くわけないよ! 「()らんのやったら貰うで~!」  床を踏む音。相手チームの生徒がすかさずカットに飛び込んできた。風を切るそのスピードに面食らう。目の前を紫の残像が(かす)った。 「うわ! ちょ…!」  東雲は決して背が高くない。  ダメだ! 真正面からじゃ。…勝負にならないじゃん! こんな時は…。  一瞬で判断し、東雲は一歩後退した。そして、素早く低いパスでボールを逃がす。 「西門!」
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