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他のメンバーも何度もボールを相手方に取られた。
「ドンマイや!」
そのたびに西門の明るい声が飛ぶ。
えッえッ…? うわ、ボールが!
西門の手にあったボールが床をバウンドし、東雲の胸に飛び込んだ。ちょうどゴール下。東雲、ゴール!と叫ぶ声が聞こえた。
ええッ!? ゴールって…。上! 上だよな!
東雲はボールを構えてゴールを見上げた。そして、固まった。
ひええ~! 高い!! 遥かかなたじゃん! まるで断崖絶壁みたいな…あんなの届くわけないよ!
「要らんのやったら貰うで~!」
床を踏む音。相手チームの生徒がすかさずカットに飛び込んできた。風を切るそのスピードに面食らう。目の前を紫の残像が掠った。
「うわ! ちょ…!」
東雲は決して背が高くない。
ダメだ! 真正面からじゃ。…勝負にならないじゃん! こんな時は…。
一瞬で判断し、東雲は一歩後退した。そして、素早く低いパスでボールを逃がす。
「西門!」
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