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「自販機すぐそこ。皆、いつでも飲めるよう小銭持ってんねん。今日は数学のお礼で、わいがおごったる」
いや、あれは食堂でのランチのお礼だから、お礼のお礼って…。
「…ありがとう」
もういいや。面倒くさいもの。東雲は素直に礼を言って受け取った。すぐにフタを開ける。慣れない黄色い液体を喉に流し込んで、東雲は表情を緩ませた。
は~。美味しい~。マッ〇って飲んだことなかったけど。
「旨いやろ~! バスケの後の〇ッチは」
西門は楽しそうに、また大声で笑った。
ホントだ。動いた後だからかな。つられて東雲もアハハと声を出して笑った。不思議な爽快感が胸に浮かんだ。
「笑たら、なかなかええ男やん! 運動はどんくさいけど勘は悪ないな。さっき下がったの、良え判断やったで」
ニパッ! と大口開けて笑って、東雲の背をバンバン叩く。
痛て、痛いって。どんくさいは余計だよ! 褒めるか貶すかどっちかに…。
げほっと咳き込んだ東雲に、別の明るい声が降りかかった。
「お! 転校生、結構やんな!」
ガシっと長い腕が東雲と西門の肩に置かれた。西門と同じぐらい背の高い生徒が二人の間に割って入った。筋肉の浮かぶ長い手足と髪を留めた紫のカチューシャが印象的だ。
うわわ…。ちょっと…肌が…。腕…重…。おまけに硬…。あ、こいつさっきの…。
東雲はすぐに思いついた。彼のボールをカットしようと飛び込んできた生徒だ。
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