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「ほんなん、わいにもわからんけど。なんしか そないしたいねん。ほやから、ツレになろな! ちゅーか、もうツレやんな!」
なんしか? ツレ? 連れ? 釣れ? 吊れ? 東雲の頭の上は疑問符だらけだ。
ピピーー! ホイッスルの音が、笑う西門の背中の向こうから鳴り響く。次の試合の始まりの合図だった。
その日の昼休み。一、二時間目の体育ですっかりヘタレた東雲は、学食へ行くのは止めて購買へと足を運んだ。
狭い購買の入り口には長机が出され、パンやおにぎり、飲み物が一杯に並べられている。ここも男子ばかりで遠慮がない。わいのわいのと黒山の人だかりだ。かなりの争奪戦は学食と一緒だった。
「おばちゃん! メロンパン2個!」
「予約8番、取って~!」
「おにぎり、最後のシャケ! 俺のや!」
紺の事務服がはち切れそうな購買のおばちゃんも負けてない。
「下がって下がって! 押さんときや! 横入りは3倍取るで!」
殺到する男子学生を怒鳴り返し、気迫で捌いていく。
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