第3話 文科系's転校生in運動系's体育館

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「ほな、県大会がんばりや〜」 「あったりマエダのなんとかやがな」  ん? この声は西門? この先…職員室だ。相変わらず声が大きいったら…。でも、マエダの何とかって…何だろう?  コの字型の校舎の真ん中に位置する2階に職員室はある。引き戸の大きな扉は試験前や会議中以外は開けっぱなしだ。そこから、担任の真鍋と西門が出てくる姿が見えた。少々古い建物のせいか、廊下は薄暗い。 「けどなあ、西門。数学は頑張れよ。進級ギリギリやったぞ。いくらバスケ大事いうても…」  カラフルなストライプのベストは遠くからでも目立つ。ロン毛の真鍋はチョークよりもギターが似合いそうだ。 「わかってるがな、センセ! けど、こないだ東雲にちょこっと教えてもろたら、スイスーイって数学、解けたわ! わいはやれば出来る子やで~」  少し後ろに反りながら、ケラケラと高笑いする西門の声。東雲は自分の名が出たことにびっくりしながら廊下を曲がった。なぜか、ちょっと照れくさい。
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