第3話 文科系's転校生in運動系's体育館

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 う~ん。一問、できたからって…。前向きだなあ、西門は…。いや、楽観的すぎるだろ…。でも、きっとそれが西門の良い所なんだろうな…。  東雲はそんなことを考え始めていた。  購買で人が減るのを待っている間、東雲は携帯で“ツレ”や分からなかった言葉を調べてみた。  ツレって友達って意味なんだ…。連れ、なんだな。  いつも遊んでいる友達を指す、と書いてある画面を見てちょっと頬が緩んだ。  強引だけど、なんか嫌な気がしないよな、西門って。  転校初日の印象のことなど棚に上げて、東雲はうんうんと何度も頷いていた。  教室に帰ってきた西門に、東雲はまず一番に聞いた。 「あのさ、かわりべんたんって…なに? それからマエダって誰の…」 「は?」  一瞬、西門はぽかんと口を開けて止まった。そして、わははっと笑いながら東雲の背をバンバン叩いた。 「ホンマ、おもろいなあ、東雲は! かわりべんたんは“代わりばんこ”っちゅ~こっちゃ! 大して東京と違わんやろ~。まあ、何でも聞いてや~」  西門の大声に釣られて、周りの連中も笑い声をあげた。  前言撤回! 感じ悪いぞ、いちいち大声で笑うな~! 知らないから聞いてみたんだよ!  東雲は少々気を悪くしながら考え込んだ。  なるほど、代わりばんこか。言われてみれば…。けど、日本語のようなそうでないような…。  もっとも、東雲にとってO阪自体が日本のようなそうでないような、ともっと実感するのはこれからだった。  今日の教訓③  並ぶときは、かわりべんたん(代わりばんこ)で。横入り(割り込み)は3倍取られる。これ、O阪のルール?!
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