17人が本棚に入れています
本棚に追加
/218ページ
いささかムッとするものの、姿はやっぱり見えない。広い背が立ちふさがったままだ。
「邪魔するんやったら帰ってー」
西門が軽くあしらった。
「ほな、さいならー。って何やらせんねんっ! 新喜〇ちゃうわ! 東雲ってどいつや!」
誰だよ。もう、わけわかんないガッコだな。どっかで聞いたようなこと言って…。
「ちょっと…西門君、どいてくれる?」
身体を捻って西門の後ろから伺うと、ひょろりと細長い生徒が廊下から入ってきたところだった。マッチ棒みたいな体形と髪型だ。重そうな髪は寝癖みたいなパーマで目までかかっている。顔が長く鼻筋も長い。細い眉と目は不機嫌そうに少々歪んでいる。もちろん、見覚えはない。
「なんや、仙頭。東雲は忙しいんや、他のクラスの奴はアポ取ってや~」
やめろ~! どこかの政治家か芸能人みたいに言うな~!
東雲は西門の後ろ頭を見上げた。
「誰?」
「C組の仙頭いうてな、初めて2番にコロコロリンって落ちたやっちゃ」
西門が指先をくるっと回して派手に落ちる仕草をして見せた。
最初のコメントを投稿しよう!