第1話 東京's転校生 in O阪'sど真ん中

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 隣の建物から渡り廊下で繋がった、大きな窓の平屋の白い建物だ。窓から人影が忙しそうに動いているのが見える。彼らの教室は二階にあるから、斜めに見下ろす形になる。その間の大きな木が視界を邪魔する。  4月の新学期が始まったばかりで若い葉が青々としている。この関西波花(かんさいなみはな)高校は敷地も広く建物も多い。  さすが結構有名な私立の高校だよな…。 「他に何か、わかれへんことないか? な~んでも教えたんで」  西門が手の平でバンと胸を叩いた。 「結構遠いんだね、食堂。…ありがとう。でも、たぶん、大丈夫だと思う…」 「自分、男やのに肌がツルッツルで髪サラッサラやな。なんや、キレイなあ。東京弁って変な感じやな~。こそば」  何だよ、それ。普通だよ。こそばって何だろう。蕎麦? ど~でもいいからそろそろ前を向いてくれないかな。先生の声が聞こえないし。  二人の思惑はズレっぱなしだ。 「東京から来たんやろ? 東京のどこやねん」 「…目白(めじろ)って街なんだけど…」 「メジロ? 鳥の名前みたいやな~。なんぞ、有名なモンあるトコかいな?」
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