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隣の建物から渡り廊下で繋がった、大きな窓の平屋の白い建物だ。窓から人影が忙しそうに動いているのが見える。彼らの教室は二階にあるから、斜めに見下ろす形になる。その間の大きな木が視界を邪魔する。
4月の新学期が始まったばかりで若い葉が青々としている。この関西波花高校は敷地も広く建物も多い。
さすが結構有名な私立の高校だよな…。
「他に何か、わかれへんことないか? な~んでも教えたんで」
西門が手の平でバンと胸を叩いた。
「結構遠いんだね、食堂。…ありがとう。でも、たぶん、大丈夫だと思う…」
「自分、男やのに肌がツルッツルで髪サラッサラやな。なんや、キレイなあ。東京弁って変な感じやな~。こそば」
何だよ、それ。普通だよ。こそばって何だろう。蕎麦? ど~でもいいからそろそろ前を向いてくれないかな。先生の声が聞こえないし。
二人の思惑はズレっぱなしだ。
「東京から来たんやろ? 東京のどこやねん」
「…目白って街なんだけど…」
「メジロ? 鳥の名前みたいやな~。なんぞ、有名なモンあるトコかいな?」
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