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「…俺が一番じゃ、この学校のレベルも…」
知れてるよな。転校先は卒業生の実績をもとに、厳選したつもりだったのに…。何か、ちょっと期待したのと違う感じ…。
「首都と地方の違いなのかな…。やっぱり東京じゃないと…」
これじゃ、成績落ちるかも。焦るなあ…。全国展開の予備校を探した方が良いかな…。
机の一点を見つめたまま呟く。
「おい。…東雲」
「え?」
呼ばれて初めて、相手の視線に気がついて東雲は顔を上げた。
「素直に喜んだらどうやねん」
喜ぶ? 一番になったって? そんなに単純じゃないよ。東雲は口走った。
「ここで良くたって、全国レベルじゃ…」
「自分、今はここの生徒なんやで。地方ってなんやねん。O阪が東京に劣るって言いたいんか」
だって、ここはO阪で、地方は地方だろ? 大体、クラス点だの部だの…来年は受験生になるのに…。
「……。…いや、別に…」
東雲はとっさに口をつぐんだ。西門の声は静かだった。けれど、じっと睨んできた目にはずっしりとした威圧感があった。
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