17人が本棚に入れています
本棚に追加
/218ページ
「O阪のこともココのことも、まだよう知らんくせに。案外、嫌な奴なんやな、自分」
西門はふいっと前を向いて黙ってしまった。
「……」
東雲は西門の言いように驚いて目を瞬いた。ちょっと首筋がチリッと痛んだ気がした。
な、何なんだよ! 俺は本当のことを言っただけで…。嫌な奴って…面と向かってそんなこと言う方が…!
ムッとした表情で沈黙したのは東雲も同じだった。
それからその日一日、西門が振り返ることはなかった。
物理室へ移動するという次の時間。
「物理室…?」
東雲はまだ知らない教室があることに戸惑っていた。
「あれ、西門。東雲は?」
一人で教室を出ていこうとする西門に誰かが声をかける。
「わい、アイツのおもりとちゃうから」
大声が耳に入って東雲をムカつかせた。ぼそり、と呟く。
「…誰も頼んでないっつーの」
なんなんだ、あの態度。迷惑なぐらいだったのに。まるで手の平を返したみたいに。
もちろん、東雲も気を悪くしていた。彼は声をかける相手を探した。
最初のコメントを投稿しよう!