第4話 意地っ張り's 転校生inお節介sクラス①

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 数人と話しながら、机の横に下がった網に入ったサッカーボールを蹴っている、斜め前の席の生徒。 「あの…。物理室ってどのへんかな?」  周りの生徒たちも東雲を振り返った。 「物理室いうたら、ここ出て右にガーッと曲がってドーンと突き当りをさらに左にダーッと行った角や」  手を勢いよく伸ばし、角度を変えながら説明してくれる。 「……」  なんか…擬音、多くないか? そんなに勢いよく歩かないけど…。  右左…と繰り返す東雲。相手は肩に教科書を持ち上げて笑った。短い焼けた茶髪の毛先があっちこっち向いている。笑うと目が細くなってちょっとキツネみたいで、いたずらっ子のような顔つき。背は東雲と同じくらいだ。 「一緒に行こぉや。俺、井藤(いとう)や」 「あ、ありがとう…」  確か…サメパンツ男子だ。サッカー部員なのかな。失礼な覚え方をしていた東雲だったが、好意に甘えることにした。 「ええって。今日の英語で俺が当てられたら助けてな~」  すかさず頼まれる。 「あ、うん、俺で解ったら」 「東雲が解らんかったら俺らみなアウトやで」  後ろからも笑い声が響いた。
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