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「な~、東雲、この間の現文の小論文ってさあ…。ちょいちょいと書き方、ざーっと教えてーな」
やっぱり擬音多いな…。あのさー、俺は先生じゃないよ…。
なぜか背の高い奴らが多い。決して大きくはない東雲だけが真ん中で窪んだ。
きっとスポーツ推薦の連中なんだろうな…。ホントにスポーツが盛んなんだなー。
東雲は話しかけてきた生徒を見上げた。
「あれ? 君は…」
あの超美形のバスケット部の生徒だ。
「栗栖! なにC組の奴が混じってんねん!」
「ええやんか。誰が一緒に行っても。な~、東雲」
「アカンアカン! 東雲はD組の新兵器やで! さっきの古文のさ…」
すかさず割って入ったのは両耳にイヤホンを入れたままの生徒だ。長い手足に色白でどこか日本人離れした顔つきをしている。
いつのまにそんなもんになったんだよ! なんて言うか…絶対、俺の周りだけ気温高い! 暑っ苦しいぞ!
「比良も横入りすんなや! 俺の英語が先やって!」
周りの生徒がお互いを押しのけようと、わいのわいのと狭い廊下でもみ合いになる。
でかい上に、暑っ苦しい連中だなー、もー。進まないじゃないか。
少々げんなりした東雲には物理室がとてつもなく遠く感じられた。
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