17人が本棚に入れています
本棚に追加
/220ページ
頭のいい奴も多いはずなんだけどなぁ…。偏差値高いんだけど…この高校。
最初に仲良くなったのが西門だったせいか、東雲の周りはなぜか体育会系の生徒が集まった。前の学校ではありえなかったことだ。
「東雲ー! ちょ、これ、ざーっと教えてくれへんか! 宿題、当たんねん!」
井藤が東雲の机に突進してくる。まるでヘッドシュートの勢いだ。
でも、やっぱり、…遠慮はないよな…。
「…どこ?」
そんな縋るような目で訴えなくって…。漢文のワーク持って泣きついてきたの、何人目?
少々苦笑しながら東雲はシャープペンを回してページをめくる。ふと、西門の言葉が頭を掠った。
できるヤツが、でけへんヤツに教えんのは当たり前やないか。
そういえば…。
東雲はバスケの試合の授業を思い出した。
西門はみんなにパスして、シュートのチャンスを振ってたっけ…。ま、いいけど…。
「このレ点があるから、こっちを先に…」
漢文をなぞる東雲の細い指先。覗き込んでくる生徒たちで、すぐに周りは人だかりだ。後ろから覗き込んでくる奴もいる。
「え? 井藤、どこやってんのん?」
「へー。もっぺん、もっぺん、ササーッと頼むわ」
やっぱり暑い…。しかも暗い…。近すぎるって…! 離れ~ろ~~。
東雲は窓に追いやられながら漢文を解いた。
最初のコメントを投稿しよう!