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けれど、月の末。西門はふて腐れて机の上に突っ伏すことになった。
O阪を地方って。いや、それは許されへんで! O阪はO阪や! まったく東京モンはちょっと都会や思て…。
けど、飽きて来たな~、こういうの。つまらんもん。大概にし~や、東雲。にしても、東京モンは頑固やなー。
もともと、西門は気が長い方ではない。遠くから、ちらちら盗み見る東雲の周りにはいつも誰かが居る。近寄って話かける機会をうかがってはいるものの、チャンスはない。
「圭、そろそろチャイム鳴るで~」
隣のクラスの廊下にもたれ掛かっていた西門に、すぐ側にある窓の向こうの席に座った栗栖が声をかけた。栗栖は言いながらピンク色のリップを出して唇に塗った。
「はよ、D組、帰れや。センセ来んで」
幼馴染は容赦がない。窓枠に掛けた西門の腰を肘でぐりぐりと向うへ追いやる。
「ほなってな~」
珍しく西門のテンションはだだ下がりだ。
「グダグダすんなや。皆、もう席、着いてんで」
「面白がってるやろ、クリ」
「当ったり前やん。俺、今日はデートやから部活の後はソッコー消えんで」
栗栖は形のいい目を細めてケラケラ笑った。
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