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「もう新しい彼女できたんかい。この前、別れとったやん」
「そんな昔の事、忘れたわ」
元カノだけでファンクラブができるという噂だけのことはある。
「へいへい」
上機嫌の栗栖とは逆に、西門は深いため息をついた。とぼとぼと足取りも重くD組に帰る。
O阪を悪ぅゆう奴はゆるせへんでー!って笑い取っとけばよかったかな。けど、O阪と、このガッコと〇イガースだけは譲られへんもんな。
もちろん、東雲の態度は面白くない。けれど、それより面白くないのは西門が離れた途端、クラスの連中がわらわらと転校生の世話を焼きたがることだ。
なんや、あいつら。ちょっと美形で賢コで東京から来たぐらいでチヤホヤしてからに。東雲も東雲やで。誰が最初に…。まあ、東雲もクラスに早く溶け込みたいんやろな…。ほら、わからんこともないけどな…。
西門は授業が始まって、教師が来たと同時に慌てて席に戻った。
ただ、とにかく、西門は面白くなくてふて腐れていた。
「…あのさ…」
だから、耳に小さな声が聞こえたときに、すぐには振り返れなかった。
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