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あら、そーなんや。そりゃ寂しいな。うんうん、と西門は頷いた。
「だから、成績のことが気になって…。後、前の学校のことが…」
語尾が小さくなっていく。
「あ、いや。とにかく…俺、嫌な奴だったよ…。ゴメン」
一旦言葉を切って、東雲は息を吸って思い切ったように口にした。小さく頭を下げる。
「で、いろいろありがとう。席を変わったら、言えないかもしれないから」
慌てて振り返った西門は思わず言葉を切った。
「…なあ…」
口元を一文字に結んだ東雲の顔がすぐ側にあった。メガネの向こうの目がほんの少し、うるんで見えた。とたん、西門の頭の中でヤバい! と緊急サイレンが点滅した。
うわ、わい、ホンマに嫌なやっちゃ! 責めてるみたいやんか…。いかん! このままやったらツレに戻られへん! ど、どないしょう! せや、こっちからちゃっちゃと謝ってしもたらええんや!
「わかった…いや、ホンマは、よーわからんけど」
声が上ずらないようにするのに必死だ。
「でも、東雲なりの事情があったんやな。わいも意地張って悪かった。謝るわ。ゴメンやで!」
勢いよくツンツン頭を下げる。
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