第5話 意地っ張り's 転校生inお節介sクラス②

9/11

17人が本棚に入れています
本棚に追加
/222ページ
「うまいん食わしたれや。ところで、授業中なんは知ってるか?」  古文の教科書で西門の頭を軽く叩く。 「仲良く廊下で立っとるか~、二人」 「え? 今時? 古風だな~」  東雲が感心したように小さく呟く。  いや、そ~いう問題ちゃうで。東雲はどっかズレてておもろいなあ。こんな風にかわすんや。 「センセ~。廊下は寂しーから遠慮しとくわ」  愛嬌たっぷりの笑顔で教師に笑いかける。クラス中がどっと明るく笑った。西門は後ろ向きのまま、東雲に親指を立てて見せた。 「しゃ~ないやっちゃな、とにかく、たこパの計画は休み時間にせい。東雲、7ページ頭からな」 「はい」  教科書で指されて、東雲は立ち上がった。 「人生得レ意須レ尽レ歓…」  すごいな~。東雲は。こんな、呪文みたいな文が読めるやなんて。よっしゃ。さっそくオカンに連絡して、用意頼んどこか…。  西門には意味不明の漢文を淀みなく読むと、東雲は腰を下ろした。屈んだ時に西門の耳元に小さな声が届く。 「ありがとう」  東雲はにこっと微笑んだ。
/222ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加