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第6話 関東's転校生in本場たこパ
放課後が近づくと、東雲はそわそわし始めた。
いいのかなあ、いきなり西門の家にお邪魔して。でも、せっかく、たこパしてくれるって…。でもなんか、久しぶりだ…。こんな楽しみなの…。
ちょっと胸がドキドキして、頬が熱い。東雲は開いていた本に視線を落とした。図書室の窓から見える夕焼けは赤い。沈むまでもう少し。
ここのところ、ずっと夕食は独りだった。商社マンの父親は帰りが遅い。
別に寂しくはないけどさ…。もう高校生だし。家に居た時は…。
『お兄ちゃん! このゲーム、進んだ? 僕、化石は全部集まったよ!』
ゲーム機片手にソファーの上をあっちこっち飛び跳ねて、東雲の帰りを待っていた弟。まだ小学生だ。
あ~、母さん自慢の、特注の皮張りの逸品が…。
『ね、潤君。一緒に映画見て。ちょっとでいいから』
夜中に青い顔をして、震えながらドアの隙間からホラー映画に誘ってきた母親。
父さんの帰りが遅いから…。でも、何でホラーなの? ラブストーリーにしとけばいいのに。
げんなりすることも多かったけど…。まあ、普通に楽しかったよな…。
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