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「東雲、自転車乗ってええで」
自転車を曳きながら歩く東雲。大きな黒いリュックを背負った西門は歩きだ。
「結構、駅は遠いのに、歩きなのか?」
「走ンのにちょうどええ距離やろ?」
西門にとっては登下校もトレーニングの一環らしい。
「じゃあ、荷物を…」
そういえば西門は頑丈そうなリュックを背負っている。自転車のハンドルに引っ掛けていいよ、と勧めた東雲に、西門は手を振った。
「大して重〜ないねん。弁当も水筒もカラやから」
また、わはははと笑う。中身の大半がそれだろうことは東雲にも想像できた。
西門らしいなあ…。きっと教科書やノートはロッカーなんだろな…。
いっぱいに中身が詰まっていた机を思い出して、東雲はくすっと笑った。
いつも東雲が通う駅よりも多くの駅を経て、彼には聞いたことのない駅で2人は降りた。東雲には少々遠いような気がした。
きっと、バスケがしたくて、スポーツ推薦を受けたんだろうな…。
でも、ここ、どこなんだろう…。何か、俺の住んでいるところと雰囲気が違うような…。東雲はうろ覚えのO阪の地図といくつかの駅名を頭に浮かべた。
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