第6話 関東's転校生in本場たこパ

3/28

17人が本棚に入れています
本棚に追加
/222ページ
「東雲、自転車乗ってええで」  自転車を曳きながら歩く東雲。大きな黒いリュックを背負った西門は歩きだ。 「結構、駅は遠いのに、歩きなのか?」 「走ンのにちょうどええ距離やろ?」  西門にとっては登下校もトレーニングの一環らしい。 「じゃあ、荷物を…」  そういえば西門は頑丈そうなリュックを背負っている。自転車のハンドルに引っ掛けていいよ、と勧めた東雲に、西門は手を振った。 「大して(おも)〜ないねん。弁当も水筒もカラやから」  また、わはははと笑う。中身の大半がそれだろうことは東雲にも想像できた。  西門らしいなあ…。きっと教科書やノートはロッカーなんだろな…。  いっぱいに中身が詰まっていた机を思い出して、東雲はくすっと笑った。  いつも東雲が通う駅よりも多くの駅を経て、彼には聞いたことのない駅で2人は降りた。東雲には少々遠いような気がした。  きっと、バスケがしたくて、スポーツ推薦を受けたんだろうな…。  でも、ここ、どこなんだろう…。何か、俺の住んでいるところと雰囲気が違うような…。東雲はうろ覚えのO阪の地図といくつかの駅名を頭に浮かべた。
/222ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加