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「え? そ、そうなんだ…」
たこ焼きって家で作れるんだ。じゃあ、あの屋台みたいな鉄板があるのかな、西門の家には…。いや、綿菓子機だって流しそうめん機だって、回る寿司だって家庭用があるわけだから…。材料は小麦粉とタコと…? そういえば冷食にもあったような…。
下町の商店街を抜ける間、四方八方から西門は声を掛けられた。所狭しと野菜の並んだ店先から、若い男が手を振った。大きな黒っぽいエプロンを付けている。裸電球が目に眩しい。
「よう! お帰り! オカン、来とったで、タコパやってな! これやるわ。中はキレイや、剥いて使い~」
ぽいっと放り投げられたちょっと萎れたキャベツ。西門は片手でうまくキャッチして、サンキューと笑った。
「あんな、家で用意してるから、なーんもいらんて。大体、うちはいつでもたこパ出来るよう常備してんねん」
「いつでも…できるんだ…」
へ~、と感心しきりな東雲は辺りをキョロキョロと見回す。
それにしても地元感満載だな。なんかすごい…どうして西門の家の事情を知ってるんだろう。よくわかんないけど…知り合い?
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