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「ただいまー。オカン、たこパの用意出来てるかー」
ふと横を見ると、塀がなく道路に続いてちょっと引いた吐き出し口の窓の下に、汚れたスニーカーが何足も山積みだ。もう来ている連中がいるらしい。
一歩、玄関の中に入って東雲は目を丸くした。狭い玄関は何種類もの靴が並び、靴箱の上にもぎっしりと物が並べられている。
うわあ…。何だか目がチカチカする。黄色と黒のスズメバチ模様だらけだ…。
玄関から2色の縞模様のグッズが廊下や壁やあらゆる所に置かれている。メガホンだのタオルだのハッピだの。〇イガースの応援グッズだ。極めつけは…。
「おかえり」
西門のお母さんのヒョウ柄のTシャツだった。
「あったりまえや、出来てるっちゅーねん。第一弾はもうガンガン焼いてんで。あら、この子が、あんたがうるさく言うてた転校生くんかいな。何や、可愛らしい子やんか。早よ上がりーな」
茶色のちりちりの髪に濃い化粧の痩せた女性。ちょっとビビった東雲だが、西門によく似た屈託のない笑顔に安心する。
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