第1話 東京's転校生 in O阪'sど真ん中

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 西門は椅子に座りながら、かなり引き気味の東雲に首を傾げた。 「なんや、自分~。もっと(わろ)てええねんで~」  強張った東雲の表情を、笑うのを我慢していると思ったのかもしれない。 「O阪人は(わら)かしてなんぼやで」 「…は?」  意味がよくわからない。呆けた表情の東雲に西門は指を一本立ててもうひとつ付け加えた。 「ついでに“おもろい”は最高の褒め言葉やからな~。なんぼでも言うてや」 「そ、そうなんだ…」  付き合いで笑おうとした東雲の頬がひくっと引きつった。 「アホはそこまでや。ほな、新し~入った東雲。三角関数は()ろたか?」  ひゃひゃっと笑いながらの橋本に差されて東雲は立ち上がった。  じゃ今、橋本先生が上機嫌なのは笑いが取れたからってこと? …いや、楽しそうでいいよな、それはそれで…。俺にはあんまり関係ないし…。 「あ、はい」  よかった。前の学校でやったところだな、これは…。  O阪人の特性が気になるところだが、それは置いて黒板に向かう。東雲はチョークを手にし問題をスラスラと解いてみせた。それより背中に突き刺さる多数の好奇の視線が気になる。
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