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西門は椅子に座りながら、かなり引き気味の東雲に首を傾げた。
「なんや、自分~。もっと笑てええねんで~」
強張った東雲の表情を、笑うのを我慢していると思ったのかもしれない。
「O阪人は笑かしてなんぼやで」
「…は?」
意味がよくわからない。呆けた表情の東雲に西門は指を一本立ててもうひとつ付け加えた。
「ついでに“おもろい”は最高の褒め言葉やからな~。なんぼでも言うてや」
「そ、そうなんだ…」
付き合いで笑おうとした東雲の頬がひくっと引きつった。
「アホはそこまでや。ほな、新し~入った東雲。三角関数は習ろたか?」
ひゃひゃっと笑いながらの橋本に差されて東雲は立ち上がった。
じゃ今、橋本先生が上機嫌なのは笑いが取れたからってこと? …いや、楽しそうでいいよな、それはそれで…。俺にはあんまり関係ないし…。
「あ、はい」
よかった。前の学校でやったところだな、これは…。
O阪人の特性が気になるところだが、それは置いて黒板に向かう。東雲はチョークを手にし問題をスラスラと解いてみせた。それより背中に突き刺さる多数の好奇の視線が気になる。
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