第6話 関東's転校生in本場たこパ

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「よっ! おかえり~! 先、食うてんで!」  栗栖と数人の見知った顔が手を挙げた。井藤に阿部も居る。十数人はいるだろうか。 「主役より先に食うなや! お前ら~」  リビングというより茶の間、という単語が東雲の頭に浮かんだ。畳の部屋にはテレビや座布団、本が散らかった間に、皆のカバンや荷物が壁沿いに積まれている。大きな座卓が2つ並べてあり、何やらこじんまりとした機械が2つ、その横に同じく2台のホットプレート、更にカセットコンロの上にもたこ焼きの鉄板が所狭し並べられていた。  3台のたこ焼き盤の上には、こんがりと焼けたたくさんの卵色の丸い玉。皆、それを取り囲んでわいわい言いながら器用に鉄の串棒で回している。横の2台のホットプレートでは、タオルを頭に巻いた姿で焼きそばを作る生徒たち。全稼働状態だ。熱気がむわっと立ち上った。  何か…やっぱり暑いなあ…。ま、いいけど。  これだけの電気機器と男子高校生が居れば、やかましくて暑苦しい。それにはさすがに慣れるしかないのだろう。東雲は近寄ってたこ焼きを覗き込んだ。
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