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「へ~、これ、たこ焼き器? 変わった物があるんだね、君の家には…」
「へ?」
一瞬の間の後、皆が爆笑した。
「何言うてんねん、東雲。こんなんどこの家にもあんで! ちなみにうちも2台あるで」
どこのうちにも? 嘘だろ。俺は初めて見たのに。
東雲の表情で言いたいことが分かったのか、皆が口走る。うちは1台、俺んちは3台や家族多いからな。
「ホントに?」
「当ったりま〇だの何とかやがな。まーまーここ、座れや」
またアタリマエダ…の呪文が聞こえたが、東雲はそれを聞くと長くなりそうだと察知し、いったん謎は頭の隅に置いて西門を振り返った。
「手を洗いたいんだけど、洗面所教えてくれる?」
「へ?」
全員の視線が東雲に集中する。
え? 俺、なんかおかしいこと言った?
洗面所はこっち、と西門が肩を叩き東雲をそこから連れ出した。
白い粉を溶いた液体を熱した鉄板に流し込み、そこに中身を満遍(まんべん)なく入れていく。たこ、紅しょうが、ねぎ、天かすを盛大にはみ出させてたっぷり乗せる。それがたこ焼きの作り方だ。
「あの…ものすごくはみ出しているけど…」
白い液体が鉄板を埋めて広がっていくさまに、東雲が慌てて口走る。
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