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西門がふふん、と胸を張った。
「そや、タレはいっぱいに入れるんや。そこが腕の見せ所やで~」
これで丸くなるのか? だいたい切れ目がないし…。
東雲は、物珍しそうにじっとその様子を眺めている。たこ焼きを作るのを見るのは初めてだ。
「ソース、何にする? まずはたこ焼きソースやな。出汁につけて食うんも旨いで」
醤油もイケんで。いやいや、ポン酢も捨てがたい。マヨネーズは必須やで。と、一押し意見と調味料がわいわいとテーブルの上で揉み合う。
「ほら、アンタら、もう裏返さなあかんのとちゃうか? そこ」
換気扇の前でタバコを吸っていたヒョウ柄母さんが、顎でたこ焼き器を指し示す。言われた面々が、一枚の焼き物に見えるたこ焼きを細い鉄の棒で切っていく。そして、はみ出した部分を器用に折り込んでクルリンと回し裏返すと、次々とたこ焼きは丸くなっていった。見ていて飽きない。
「すごい! みんなうまいんだね! 俺にもやらせてよ」
東雲にしては珍しく自分から手を伸ばしたものの、西門にさえぎられた。
「ま~まず、食うてからにし~や。腹減ったやろ」
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