第6話 関東's転校生in本場たこパ

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 そう言えば美味しそうな匂いに腹の虫が鳴っている。何だか久しぶりに食欲が湧いたような気がした。西門が紙皿に焼きたてのたこ焼きを盛る。東雲は側にあったソースのボトルを差し出した。 「アカンアカン。それは焼きそばのソースやがな」 「え? なに、それ」  東雲がしげしげと見直すと、確かに焼きそばソースと書いてある。 「たこ焼きソースと焼きそばソース一緒にしたらアカンがな。でな、メーカーは絶対○タフク。美味しいねんでー!」  ハイっと差し出された出来たて熱々のたこ焼きにはたっぷりのソース、その上にはマヨネーズ。さらにその上には、大きな鰹節が踊っている。まるで、生きたたこ焼きだ。東雲は刺してある爪楊枝で、その一つを頬張った。  おいしい! 何だ、これ。子供の頃、食べたのと全然違う!  外側はパリッとしてるのに、中はトロトロ…。ねぎはシャキッとして、天かすがカリッとして、タコは甘くて、紅ショウガがピリッとして、それを出汁の利いた生地がうまくまとめて、甘くて濃いソースがさらに味に深みを出してる。
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