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うおー!と歓声が上がる。食べ盛りの男子高校生が十数人集まれば、胃袋はもうブラックホールだ。あれだけ山盛りに盛ってあった焼きそばも、同じく第二弾に突入している。
「栗! 材料、こっち取りに来てや」
ヒョウ柄母さんが、タバコ片手に換気扇の下から栗栖を呼んだ。ほーい、と返事をしてすっ飛んでいく栗栖。バスケ仲間だからか、勝手知ったる他人の家といった風情だ。キッチンのテーブルでキャベツを刻む者、たこ焼きのタレを混ぜる者、卵を割る者、ゴミを集める者、それぞれが分担して素早く作業は進んで行く。その手際の良さに東雲はひたすら感心するばかりだ。
「東雲、ほい。オムそば出来たで」
向かいから井藤が東雲に紙皿を手渡し、目を細めてニッと笑った。皿の上にはオムライスのようなものが乗っている。皿をじっと眺めていた東雲が箸で卵を割ると、とろとろの半熟卵の中からこんがりと焼けたそばが覗いた。
西門がそこにソースを垂らした。
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