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西門が美味しいって言うんなら…。いやいや、ここはいったん保留で。
「…い、いや、今はお腹いっぱいだよ」
それもホントだし。
東雲は喉元まで上がってきそうなタコ焼きと焼きそばとオムそばとおにぎりと…結局、無理やり飲んだ牛乳を思い出した。
酔っ払いが何かを喚きながら狭い道の向こう側をよろよろと歩いている。よく見るとそんな作業服のオヤジや派手めの格好の女の人が多い。色の黒い外人も集団で歩いている。東雲が物珍しげにきょろきょろと辺りを眺めながら歩くものだから、なかなか駅に着かない。
「なー」
ちょっと言いにくそうに、今度は西門が声をかけた。
「あのなー、わいな、気になることがあったら言わな、おられへんねん」
少々言いにくそうに西門は切り出した。
「席替え前に、話してたやろ? 弟さんのこと。わい、アホやから、あん時の話、よーわからんかってん」
東雲は意外そうな表情で西門の顔を振り仰いだ。
気にしてくれてたんだ…。俺はすっかり忘れてたのに。
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