第6話 関東's転校生in本場たこパ

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 西門がたこパを言い出したのはその話の最中だった。気遣いが嬉しい。歩きながら淡々と東雲は説明した。 「別に大した話じゃないんだよ。4月から父さんのO阪転勤が決まって…。弟が中学受験だから単身赴任のはずだったんだけど。母さんが心配して俺についてけって…」 「へえ~。おとん、大人やのに?」 「まあね…。その…。浮気とか、不倫とか…心配してるんだよ。でさ、俺、めちゃめちゃ頑張って入った高校、転校になっちゃって…」 「そりゃ酷いな」  西門がぶう、と口を尖らせた。 「いや…別に…どうせ楽しくなかっ…。あ、いや…」  休み時間にも必死で勉強していた馬場やクラスの連中の背中が頭に浮かぶ。慌てて手を振って、東雲は話を元に戻した。 「たぶん2、3年でまた東京転勤だっていうから、俺も東京の大学に…」  東雲は小さくため息をついた。今さっき出てきたばかりの賑やかそうな西門の家が頭をよぎった。家族の姿は見られなかったが、靴や食器は一杯だったように思う。  いいなあ、西門のお母さんはなんだか話が分かりそうで。こういう時に、しらんけど…ってつけるのかな?
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